覚醒のチェンジエージェント第七話

慣れない電話会議システムの設定を終え、ハノイにいる森山さんから電話が入るのを待った。向こうは直前まで会議があるそうで、少し遅れる可能性があるとメールには書いてあった。

待っている間、「お恥ずかしい話ですが、私、うちが何をしにベトナムに進出しているのかよくわかっていません」と和泉さんが言うので、僕も詳しいわけではなかったが自分が知っている限りのことを話した。

ベトナム政府の科学・技術省は昨今、農業への新技術応用に力を入れていて、日本で最新技術を開発し展開するトクイ・アグリテックの噂を聞きつけた。ラブコールは日本の農林水産省を経由し、徳居社長と科学・技術省長官の会談が実現。ハノイ付近の農地を借り、ミニトマトの完全コンピューター制御による栽培を試みることに合意した。

現在ハノイ支社では現地技術者三名と他数名のスタッフと共に第一の温室を運営テスト中だ。二年ほど前から赴任している森山さんはハノイ支社長を務めている。

ちょうど話の区切りが良いところで電話が鳴った。

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覚醒のチェンジエージェント第六話

覚醒のチェンジエージェント第六話

※ この物語はフィクションです。 小説中に登場する人物・団体・店舗などは、 ベルリッツ・ジャパン株式会社をのぞき全て架空のものです。また、作中の人物の発言は、ベルリッツ・ジャパン株式会社の公式見解ではありません。

「日本語、英語と関西弁のトライリンガルの坂口です」と言いながらベルリッツから来た営業マンは名刺を差し出してきた。坂口光一(さかぐち こういち)。話し方が緩い服の着こなしと一致していて不思議な安心感があった。見慣れない生地のネクタイを締めていた。

和泉さんから簡単に紹介があった後、三人で窓からの眺めがいい会議室に移動した。

 

雑談がひと段落すると、坂口さんが本題を切り出した。「今回は、何かお悩み事があると清水から聞いております」

「はい。語学研修などに直接関係がないかもしれないので、御社に相談して良いものか迷いましたが・・・」と、僕はTOEICスコアが社員の昇進条件のひとつになっていることや、海外進出はすでに始まっているにも関わらずほとんどの社員が英語学習に身が入っていないということを話した。原因としては、自分たちの会社がグローバル化した姿をイメージできていないことが仮説として考えられる、ということも話した。

見えない向こう岸に行きたいか聞かれてもわからない。ただわかるのは遠いということだけだ。

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覚醒のチェンジエージェント 第五話

Attractive businesswoman on dark background

※ この物語はフィクションです。 小説中に登場する人物・団体・店舗などは、 ベルリッツ・ジャパン株式会社をのぞき全て架空のものです。また、作中の人物の発言は、ベルリッツ・ジャパン株式会社の公式見解ではありません。

私には野望がある。

地方の農家にガンガン儲けてもらう。トクイが持つ素晴らしい技術で。

岩手の実家の周りには農家がたくさんある。私が住んでいた頃はもっとあった。息子さんが家業を継いだところもあるけど、ほとんどの農家のおじいちゃんおばあちゃんは体力的に面倒を見られなくなった畑や農園を縮小していくしかなかった。

 

「そこに徳居社長が現れて一発逆転ですよ!」と、思わず4杯目のビールグラスを振りかざした。すると隣の席の外国人の一団がふり返って一緒に掛け声を上げてくれた。

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覚醒のチェンジエージェント 第四話

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※ この物語はフィクションです。 小説中に登場する人物・団体・店舗などは、 ベルリッツ・ジャパン株式会社をのぞき全て架空のものです。また、作中の人物の発言は、ベルリッツ・ジャパン株式会社の公式見解ではありません。

広明さんの後姿は独特だ。力強いのに主張しすぎない。身体はがっしりしているのに物腰が柔らかいからかもしれない。温厚で柔和なところもあれば、決して有無を言わせない厳格さもある。かと思えば人懐っこいところもある不思議な人だ。

青山通りを歩く広明さんに追いついて挨拶した。

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覚醒のチェンジエージェント 第三話

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※ この物語はフィクションです。 小説中に登場する人物・団体・店舗などは、 ベルリッツ・ジャパン株式会社をのぞき全て架空のものです。また、作中の人物の発言は、ベルリッツ・ジャパン株式会社の公式見解ではありません。

引き継ぎは淡々と進んでいった。

三上さんは昇進条件にTOEICスコアを導入したのも、TOEIC研修を実施し始めたのも、とにかく社長から言い渡された期限に間に合わせることだけを考えて必死に取り組んだのだと話した。

「最初にTOEIC導入の目的や意義をよく考えていれば、社員へのコミュニケーションももっといい形でできていたかもしれませんね・・・」と、三上さんは話の途中に漏らした。

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他流試合で組織とリーダーは飛躍する

game of chess

人材育成における他流試合とは:【分野・業界の異なる者同士が議論や問題解決などに取り組む研修やワークショップといった能力開発の場】

他流試合が昨今注目され始めているのはなぜなのでしょう?

ウェブやアプリ事業参入のハードルが劇的に下がった今、ありとあらゆる分野のビジネスパーソンたちが自分たちのアイディアとITを融合させ、イノベーションを次々と起こしています。

この現象は分野の垣根を越えて協働したりアイディアを掛け合わせたりすることで、単一的な組織には成し得ない画期的な商品やサービスを生みだすことができることをわかりやすい形で表しています。多様性を取り入れ上手くマネジメントできる組織は、強い。

しかしだからといって自らの組織の社員構成を今日からガラッと変えるなどそうそうできることではありません。でも自分たちだけでは考えつくことができないようなアイディアはやはり欲しい。多くの企業が感じているはずのジレンマです。

このような問題に対して即効性のある解決策が、他流試合です。自らの組織の社員を入れ替えるなど大掛かりなことをすることなく、新しい風を取り入れることができる方法です。

今回は他流試合が組織と人材に施す恩恵についてお話しします。
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覚醒のチェンジエージェント 第ニ話

覚醒のチェンジエージェント第ニ話

※ この物語はフィクションです。 小説中に登場する人物・団体・店舗などは、 ベルリッツ・ジャパン株式会社をのぞき全て架空のものです。また、作中の人物の発言は、ベルリッツ・ジャパン株式会社の公式見解ではありません。

「ああ、仁さんだね。はじめまして、三上 真平です」
「どうも、山口です」と、条件反射で名乗ったところで自分がようやく三上さんのキノコ頭から目を離したことに気がついた。

三上さんの第一印象は、いい人そう。この一言に尽きる。一方で、八の字になった眉毛がどことなく弱気を匂わせる。
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覚醒のチェンジエージェント 第一話

覚醒のチェンジエージェント第一話

※ この物語はフィクションです。 小説中に登場する人物・団体・店舗などは、 ベルリッツ・ジャパン株式会社をのぞき全て架空のものです。また、作中の人物の発言は、ベルリッツ・ジャパン株式会社の公式見解ではありません。

「仁(じん)くん、今日からだよね。改めてよろしく」 不敵な笑みを浮かべて水谷部長は言った。どうもこの人の頭の中はよくわからない。

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連続メルマガ小説 「覚醒のチェンジエージェント」バックナンバー

覚醒のチェンジエージェント

人材開発課に配属になった山口 仁はグローバル化を志すトップと変化に戸惑う社員に挟まれ悪戦苦闘する。海外展開に向けて大きく舵を切る会社とそれに翻弄される社員たちのために、人事部の人間として何ができるのか。急ピッチで改革を推し進める社長の本当の思惑とは。組織が抱える課題と謎に立ち向かう山口を助けるために、次第にチェンジエージェントたち(=変革の触媒になる者たち)が目覚めていく。企業風土の変革を人事部の立場から具体的に描く成長ドラマ。

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英語を学ぶ理由って?外国語を自分のモノにした先の世界

英語は日本で生活している限り必要ない。これから世界で生き残るには英語や中国語が話せないと。そんな議論をよく耳にします。どちらの意見も本当です。

ただ、外国語を話せるようになるに連れて外国語が必要か・必要でないかの問題は些細なことになっていきます。なぜなら、話せるようになるまでのプロセスから得られるものは替え難いものだからです。

この記事では実際の外国語学習者数名の人格や人生に起こった変化を最大10年に渡り観察した結果をもとに、外国語をがんばって話せるようになる意義について議論します。

結論から言うと、英語を学ぶ理由は:

  • 自分が本当に表現したいことに向き合うことで自己を理解していき、自分に合った上達の術と、言語に縛られずに自己を表現する自由と自信を得ること、
  • 元々いた文化圏の中と、身につけた外国語の文化圏の中の両方で「できること」が増えるということです

 

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